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ボーナストラック:μμタンバリン(アレンジ&プログラミング:Team S)


Vo    Nachiko

Dr    :そうる透

Bass   :渡辺建

Bass   :和佐田達彦

G      :田川ヒロアキ

G   :竹内亨規

Key    :河野啓三

Key    :河本慎一

Vi    :武藤祐生

和太鼓 :響道宴


Mix :岡野高史

All Music&lyrics:舘岡奈智子

All Produce&arr.:そうる透

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La Lumière 

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雪&音階の郷愁性

今日の東京は大雪。
昨日は今年第一弾のマスタリングだった。
一日ズレていたら雪の中を頭痛持ちの
私が転びそうになりながらスタジオに
向かったのかと思うとラッキー!
と思う。

かと言って時間を もて余すわけでは
ないので大差ないのかもしれないが。

雪といえば私は頭に深く残る記憶がある。
それは「和音階」

小学生の頃、学芸会で新美南吉の
『手袋を買いに』をやった。

目立たない私が何かの役につくことは
当然なく、観客にまわっていた。

新美南吉とは1913年7月30日ー
1940年3月22日、享年29歳の若さで
この世を去った日本の児童文学作家だ。

『ごん狐』などで知っている人は
多いかと思う。
あまりに早くに結核で亡くなったため
作品数も多くない。

「北の宮沢賢治」「南の新美南吉」
と言われるが、宮沢賢治はシニカルで
宗教がかっている部分があるけれど、
新美南吉は情緒的な作品が多いので
教育現場で用いられるのではないかと
思う。

それで、学芸会でも新美南吉の
『手袋を買いに』を取り上げた
のかなと今にして考える。

物語は実に心温まる内容である。
短いので全文載せると
…………………………
寒い冬が北方から、狐の親子の
棲んでいる森へもやってきました。

ある朝洞穴から子どもの狐が
出ようとしましたが、
「あっ」と叫んで眼を抑えながら
母さん狐のところへころげて
きました。

「母ちゃん、眼に何か刺さった、
ぬいて頂戴早く早く」
と言いました。

母さん狐がびっくりして、
あわてふためきながら、眼を
抑えている子どもの手を恐る
恐るとりのけて見ましたが、
何も刺さってはいませんでした。

母さん狐は洞穴の入り口から
外へ出て始めてわけが解り
ました。

昨夜のうちに、真白な雪が
どっさり降ったのです。
その雪の上からお陽さまが
キラキラと照らしていたので、
雪は眩しいほど反射していた
のです。

雪を知らなかった子どもの狐は、
あまり強い反射をうけたので、
眼に何か刺さったと思った
のでした。

子どもの狐は遊びに行きました。
真綿のように柔らかい雪の上を
駆け回ると、雪の粉が、
しぶきのように飛び散って
小さい虹がすっと映る
のでした。

すると突然、うしろで、
「どたどた、ざーっ」と物凄い
音がして、パン粉のような粉雪が、
ふわーっと子狐におっかぶさって
来ました。

子狐はびっくりして、雪の中に
ころがるようにして十米も向こう
へ逃げました。
何だろうと思ってふり返って
見ましたが何もいませんでした。
それは樅(もみ)の枝から雪が
なだれ落ちたのでした。

まだ枝と枝の間から白い絹糸
のように雪がこぼれていました。

間もなく洞穴へ帰って来た子狐は、
「お母ちゃん、お手々が冷たい、
お手々がちんちんする」と言って、
濡れて牡丹色になった両手を
母さん狐の前にさしだしました。
母さん狐は、その手に、
はーーっと息をふっかけて、
ぬくい母さんの手でやんわり
包んでやりながら、
「もうすぐ暖かくなるよ、
雪をさわると、すぐ暖かくなる
もんだよ」といいましたが、
かあいい坊やの手に霜焼けが
できてはかわいそうだから、
夜になったら、町まで行って、
坊やのお手々にあうような
毛糸の手袋を買ってやろうと
思いました。

暗い暗い夜が風呂敷のような
影をひろげて野原や森を
包みにやって来ましたが、
雪はあまり白いので、
包んでも包んでも白く
浮かびあがっていました。

親子の銀狐は洞穴から出ました。
子どもの方はお母さんのお腹の
下へ入りこんで、そこから
まんまるな眼をぱちぱちさせながら、
あっちやこっち見ながら
歩いて行きました。

やがて、行く手にぽっつり
あかりが一つ見え始めました。
それを子どもの狐が見つけて、
「母ちゃん、お星さまは、
あんなに低いところにも
落ちているのねえ」
とききました。
「あれはお星さまじゃないのよ」
と言って、その時母さん狐の足は
すくんでしまいました。
「あれは町の灯なんだよ」

その町の灯を見た時、母さん狐は、
ある時町へお友達と出かけて行って、
とんだめにあったことを思い出し
ました。
およしなさいっていうのもきかないで、
お友達の狐が、ある家の家鴨を
盗もうとしたので、お百姓さんに
見つかって、さんざ追いまくられて、
命からがら逃げたことでした。

「母ちゃん何してんの、
早く行こうよ」と子どもの狐が腹の
下から言うのでしたが、母さん狐は
どうしても足がすすまないのでした。

そこで、しかたがないので、
坊やだけを一人で町まで行かせること
になりました。

「坊や お手々を片方お出し」と
お母さん狐がいいました。
その手を、母さん狐はしばらく
握っている間に、可愛い人間の
子どもの手にしてしまいました。

坊やの狐はその手を広げたり握ったり、
つねってみたり、嗅いでみたりしました。
「何だか変だな母ちゃん、
これなあに?」と言って、雪あかりに、
またその、人間の手に変えられて
しまった自分の手をしげしげと
見つめました。

「それは人間の手よ。
いいかい坊や、町へ行ったらね、
たくさん人間の家があるからね、
まず表に円いシャッポの看板の
かかっている家を探すんだよ。
それが見つかったらね、
トントンと戸を叩いて、
今晩はって言うんだよ。
そうするとね、中から人間が、
すこうし戸をあけるからね、
その戸の隙間から、こっちの手、
ほらこの人間の手をさし入れてね、
この手にちょうどいい手袋
頂戴って言うんだよ、
わかったね、決して、こっちの
お手々を出しちゃ駄目よ」
と母さん狐はいいきかせました。

「どうして?」と坊やの狐は
ききかえしました。

「人間はね、相手が狐だと解ると、
手袋を売ってくれないんだよ、
それどころか、つかまえて檻の中
へ入れちゃうんだよ、
人間ってほんとうに恐いもの
なんだよ」

「ふーん」

「決して、こっちの手を出しちゃ
いけないよ、こっちの方、
ほら人間の手の方をさし出すんだよ」

と言って、母さんの狐は、
持って来た二つの白銅貨を、人間の
手の方へ握らせてやりました。

子どもの狐は、町の灯を目あてに、
雪あかりの野原をよちよちやって
行きました。

始めのうちは一つきりだった灯が
二つになり三つになり、
はてには十にもふえました。

狐の子どもはそれを見て、
灯には、星と同じように、
赤いのや黄いのや青いのが
あるんだなと思いました。

やがて町に入りましたが
通りの家々はもうみんな戸を
閉めてしまって、高い窓から
暖かそうな光が、道の雪の上に
落ちているばかりでした。

けれど表の看板の上には大てい
小さな電燈がともっていました
ので、狐の子は、それを
見ながら、帽子屋を探して
行きました。

自転車の看板や、眼鏡の看板や
その他いろんな看板が、
あるものは、新しいペンキで
画かれ、あるものは、古い
ペンキで画かれ、あるものは、
古い壁のようにはげて
いましたが、町に始めて来た
子狐にはそれらのものが
いったい何であるか分からない
のでした。

とうとう帽子屋がみつかりました。
お母さんが道々よく教えてくれた、
黒い大きなシルクハットの帽子の
看板が、青い電燈に照らされて
かかっていました。

子狐は教えられた通り、トントンと
戸を叩きました。

「今晩は」

すると、中では何かことこと音が
していましたが やがて、戸が一寸ほど
ゴロリとあいて、光の帯が道の白い
雪の上に長く伸びました。

子狐はその光がまばゆかったので、
めんくらって、まちがった方の手を、
ーーお母さまが出しちゃいけないと
言ってよく聞かせた方の手を隙間から
差し込んでしまいました。

「このお手々にちょうどいい
手袋下さい」

すると帽子屋さんは、おやおやと
思いました。
狐の手です。
狐の手が手袋をくれと言うのです。

これはきっと木の葉で買いに来たんだ
なと思いました。そこで、
「先にお金を下さい」と言いました。

子狐は素直に、握ってきた白銅貨を
二つ帽子屋さんに渡しました。

帽子屋さんはそれを人差し指の先に
のっけて、カチ合わせて見ると、
チンチンとよい音がしましたので、
これは木の葉じゃない、ほんとの
お金だと思いましたので、棚から
子供用の毛糸の手袋を取り出して来て
子狐の手に持たせてやりました。

子狐は、お礼を言ってまた、もと来た
道を帰り始めました。

「お母さんは、人間は恐ろしいものだって
おっしゃったがちっとも
恐ろしくないや。
だって僕の手を見ても どうも
しなかったもの」と思いました。

ある窓の下を通りかかると、人間の
声がしていました。
何というやさしい、何という美しい、
何というおっとりした声なんでしょう。

「ねむれ ねむれ
母の胸に、
ねむれ ねむれ
母の手にーー」
子狐はその唄声は、きっと人間の
お母さんの声にちがいないと
思いました。

だって、子狐が眠る時にも、
やっぱり母さん狐は、あんなやさしい声で
ゆすぶってくれるからです。
するとこんどは、子どもの声が
しました。

「母ちゃん、こんな寒い夜は、森の子狐は
寒い寒いって啼いているでしょうね」

すると母さんの声が、
「森の子狐もお母さん狐の唄をきいて、
洞穴の中で眠ろうとしているでしょうね。
さあ坊やも早くねんねしなさい。
森の子狐と坊やと
どっちが早くねんねえするか、
きっと坊やの方が早くねんねしますよ」

それをきくと子狐は急にお母さんが
恋しくなって、お母さん狐の待っている
方へ跳んで行きました。

お母さん狐は、心配しながら坊やの狐の
帰ってくるのを、今か今かと
ふるえながら待っていましたので、
坊やが来ると、暖かい胸に抱きしめて
泣きたいほどよろこびました。

二匹の狐は森の方へ帰って行きました。

月が出たので、狐の毛なみが銀色に
光り、その足あとには、コバルトの
影がたまりました。

「母ちゃん、人間ってちっとも
恐かないや」

「どうして?」

「坊、間違えてほんとうのお手々を
出しちゃったの。でも帽子屋さん、
つかまえたりしなかったもの。
ちゃんと こんないい暖かい手袋くれた
もの」

と言って手袋のはまった両手を
パンパンやって見せました。

お母さん狐は、「まぁ!」
とあきれましたが、

「ほんとうに人間はいいものかしら。
ほんとうに人間はいいものかしら。」
とつぶやきました。
[新美南吉童話集 岩波文庫 岩波書店]
……………………………

これが物語だが学芸会では寒さや
情景描写のために少し唄が入っていた。
今でもハッキリ覚えている。

「北風ピューピュー
しーんこ しんこ
粉雪ピューピュー
かーんこ かんこ……」

ここから
「キックキック トントン
キックトントン……」

と子狐が唄うシーンがあった。
メロディも覚えている。

クラシック音楽の西洋音階漬けの
小学生の私にとって、この部分が
すべて和音階だったことから
印象が強く、和音階とは何ぞや?
と子ども心に思った最初だった
のである。

和音階とは簡単に説明すれば
「ヨナ抜き」とも呼ばれていて、
(ウチの猫の名前がヨナなので
仲間はずれにしないで欲しいが)
文字通り4番目と7番目の音を
使用しない音階のことだ。

音階の話を書いてもつまらない
ので、そんなのどーでも
よいとは思うのだが、
日本人がいかにヨナ抜き長音階
が好きかは過去から現代に
至るまで証明している。

坂本九さんの「上を向いて歩こう」
からAKB48とかアイドル達の
曲までそうなのだから和音階
万歳なのだ。

以前、私が和音階を曲に入れる時は、
間奏を入れて独立した世界観で
挿入していた。

私は全部をヨナ抜きでは作らない。

昨年出した新譜では西洋音階に
ヨナ抜き音階メロディを入れても
違和感がないように作ってみた。

これは実は なかなかの作業で
うっかりするとヨナ抜きの
メロディを挿入すると元の
音階に戻れず、転調してしまう。

和音階と西洋音階がうまく融合する
ところでメロディを探って繋げて
ゲシュタルトの完成をはかるという
ことを試みた。

ヨナ抜き音階の持ち味を精一杯
活かしてみたかったという狙いが
大きかった。

日本人が持っている ある種の
郷愁性をくすぐるものだと
思っている。

何となく聴き流してしまわれるかも
しれないが、実はこれでも色々と
考えながら創っていたりしている。

その根本に新美南吉の学芸会での
唄が幼い頃の目覚めとしてあった事を
こんなに雪が降ると子狐と共に
思い出し、同時に頭を過るのである。

2014-02-08 21:19:20投稿者 : Nachiko
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    7件中   1 - 7 件表示 ( 全 1ページ )
    コメント一覧
    久松さんへはい、ピンポンです。ヨナのフルネームは聖書からとった名前でヨナタンです。国によってはジョナサンと読みます。末猫の名前もモーゼの兄の名前でアロンといいます。琉球音階は強くて馴染みが悪くて難しいです。いつか使ってみたいです。
    サイト管理者 Nachiko   2014-02-13 07:33:15
    瑞恵さんへありがとうございます。間違えてすみませんでした。和音階を歌中に違和感なく挿入させるのは、けっこう苦労しました。普通に聴ける作品に仕上がってホッとしています。いつもありがとうございます。
    サイト管理者 Nachiko   2014-02-13 07:26:53
    guest
    奈智子さんちの猫の名前がヨナなのは、旧約聖書のヨナからつけたんですか? とかいう疑問はおいといて、新見南吉のこの話初めて知りました。似た話はアニメかなんかで見た記憶はあるので、おそらくこの話を原作にしてたんでしょうね。和音階も個性が強いですが、ニロク抜きの琉球音階も東南アジアにつながる感じのする音階で、独特ですよね。
    投稿者 久松   2014-02-11 12:56:20
    guest
    はい!私が瑞恵です。
    お待たせ致しました。『手袋を買いに』良いお話ですね?心がホンワカします。人間だって捨てたもんじゃないよね?・・・今の人間は少し考えさせられますが。なので好まれる音楽、流行る音楽が変わってくるのかもしれません。ですがNachikoさんの歌は以前の作品の主張と変わってはいませんね?魂を歌っている。しかも嘘の無い魂。Nachikoさんの作品の中に和音階と西洋音階が融合していても無理のある違和感が感じられないのが素敵です。
    投稿者 瑞恵   2014-02-10 23:46:06
    馬鹿道マッシグラさんへ大変失礼致しました。いつも瑞恵さんという方がコメントを下さるので、間違えてしまいました。「瑞恵さんへ」と書いたコメントは馬鹿道マッシグラさんあてに書いたものです。すみませんでした。
    サイト管理者 Nachiko   2014-02-09 22:56:15
    瑞恵さんへ素敵な子守唄を歌っておられたのでしょう。私は子守唄を創るのが好きで1stにも入っています。あれはレゲエっぽいですけど。未発表の子守唄もあります。良いものですよねぇ。
    サイト管理者 Nachiko   2014-02-09 22:51:51
    guest
    和音階、そうですね?日本人は何故か和音階を聴くと安心感を抱きます。
    日本の「子守唄」は、暗い唄ばかりなのが不思議だし、私が育児をしていた時には、日本の子守唄は歌わないようにしていました。子守唄って、身体に染みつくと思うのです。ですから、私の子供たちには明るい子守唄を歌って抱いた赤ん坊を ゆっくり揺らしていました。
    投稿者 馬鹿道マッシグラ   2014-02-09 09:15:56
    7件中   1 - 7 件表示 ( 全 1ページ )