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Vo    Nachiko

Dr    :そうる透

Bass   :渡辺建

Bass   :和佐田達彦

G      :田川ヒロアキ

G   :竹内亨規

Key    :河野啓三

Key    :河本慎一

Vi    :武藤祐生

和太鼓 :響道宴


Mix :岡野高史

All Music&lyrics:舘岡奈智子

All Produce&arr.:そうる透

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ライオンブックス1⃣手塚治虫全集より「安達が原」

昨日 つげ義春にふれたので、改めて
今日は つげ義春が小学校4年頃から
熱中しはじめ、とうとう豊島区の
トキワ荘時代の手塚治虫を尋ねて、
原稿料などを聞き出し、プロの
マンガ家になる決心をしたという
手塚作品を読んでみた。

これは物凄く幸せな事に私が
改めて手塚作品を読みたいと
思っていた矢先にプレゼントを
して下さった方がいたおかげで、
手にしていなかった作品に触れる
ことができたので、
もし この作品を手にして
いなかったら、ずっとこの手塚作品
を知ることなくいたことになる。

目についた本は片っ端買っていた
つもりでも、取りこぼしはある
もので、一時 私は
強制多量マンガ&文学全集&文庫本
の処理に遭っているので
とても嬉しいプレゼントだった。

「ライオンブックス」は手塚治虫の
短篇SF小説漫画シリーズ作品。
1956年から1957年にかけて
集英社の月刊『おもしろブック』の
付録および、1971年から1973年
にかけて同じ集英社の
『週刊少年ジャンプ』に掲載された。
(wikiより)

もともと「安達が原」は能や浄瑠璃の
演目にもなっている
「安達ヶ原の鬼婆伝説(黒塚の伝説)」
を下敷きにしている。

この「安達ヶ原の鬼婆伝説」は
実在する恐怖の伝説と言われている。
元が人間でも狂気の果てに鬼と
化するという話は日本全国にある。

この伝説でも、よくある病気を治すため、
活力をつけるためのカムバリズム
なのだが、元の話は
昔 仕える先の お姫様の病気を治すために
人間の肝を食べさせるため沢山の
人を殺し、その女性は とうとう
自分の娘まで殺してしまった。

娘を殺したことによって鬼と化した
女性は旅人を殺戮するようになり、
高僧によって仏教に帰依させられ
改心した。または高僧の唱えた
お経が雷鳴を呼び、雷に打たれて
絶命。となっている。

手塚治虫の描く「安達ヶ原」は
脚色が加えてあり、単に狂気という
ものが普通の人間だからこそ
隣り合わせにあるという事を
述べている気がする。

ストーリーは活動家だった主人公の
ユーケイは宇宙調査官になり
大統領の直命を受けて、ある星にいる
宇宙船をおびき寄せては乗組員を殺し、
物資や食料を奪っているという魔女を
始末しに行く。

そこには老婆が住んでおりユーケイを
手厚くもてなすのである。
しかしユーケイは寝室を抜け出し
地下に大量の人骨を発見する。

その時 老婆が現れ、何故地下室を
見たのだと詰め寄る。

ユーケイは自分の身分を明かし、
大統領の命令でお前を殺しに来たと
告げる。老婆は追い詰められ、
死に土産にユーケイの身の上を
聞かせてくれと懇願する。

そこでユーケイは自分が活動家
として刑罰を受けていた長い期間、
冷凍保存されていた期間の事も
頭に置かず、持っている記憶だけを
話すのだ。最愛の女性が釈放された
後探しても地球にいなかったこと…

その魔女の老婆が最愛の女性だと
気づくのに時間はかからなかった。

老婆は、いかに今の大統領が
悪い人なのかを説くがユーケイには
変わり果てた最愛の女性を目の前に、
涙ながら命令を実行して殺して
しまうという話で、
いきなりページを開くと
能の「安達原」の一説が書いてある。


旅のころもは すずかけの

旅のころもは すずかけの

露けきそでや しおるらん

わが本山を立ちいでて

わけゆくすえは紀の路潟

塩崎の浦をさしすぎて

なおしおりゆく旅衣

月もかさなればほどもなく

名にのみききし陸奥の

安達が原に

つきにけり

と始まり、
一番最後は


あさましや はずかしの わがすがた

やと いう声は なお すさまじき夜嵐の

音にたちまぎれ うせにけり

音にたちまぎれ うせにけり


で〆てある。
これは ただのSF漫画ではない。

魔女になった老婆の口から手塚は
こんな事を言わせている。

「世の中は いっときは しあわせに
なったようにみえた。
だが人間の欲はな 結局
限りがないのじゃ。

革命政府の大統領も
いつか欲に目がくらんだ
そして自分をまもるために
つごうのよい政治を
おしつけていきおった」

このセリフからも手塚が、いかに
人間の欲を手を変え品を変え
いつも表現していたかがわかる。

「安達が原」をカムバリズムの
鬼伝説だけにとどめずに、
人間の持つ深い業にまで
掘り下げている。

魔女になった老婆は、さらに
続けるのだ。

いや、これは世にも醜い姿に
なってしまった最高に愛されて
いた主人公の婚約者からの
最後の愛の告白だろう。

「小さな名もない星くずの上で
女は待った
十年も二十年も…
恋人が流星刑から脱走して
くるたよりを…

女は待ち続けたのじゃ
ときには政府から
つかわされたイヌどもが
この星へも たちよった
女は そいつらを殺し
食らったのじゃ!!
生き長らえるために!
そして
恋人は やってきた」

とユーケイを指差す。

もうここで魔女になった老婆は
生きている意味を失い自分を
殺せと言ってのけるのだ。

この物語で、本当に戦ってきたのは
実は活動家の主人公ではない
逆転の真実が見えてくる。

人間の欲深さにウンザリしながら、
恋人と逢いたくて魔女になり、
狂気の世界に身をおく女の情念の
凄まじさに読者は引き込まれるのだ。

「殺せ」とわめく変わり果てた最愛の
女性を大統領の命令だからと、
撃ち殺す主人公に何とも言えない
浅はかさな単細胞活動家だったのか?
という疑問しか残らなくもない。

構成的に「安達が原」と名打ってしまった
以上 この醜い老婆は死ななければ
ならないのだが、個人的には
そこで主人公のユースケに
「ああ、なんて姿に変わり果てたのだろう
かわいそうに。
待っていてくれたんだね」
なんて言わせたくなるのが私の
心情でもある。

そして この星には魔女と もう一人
狂気に満ちた人物が増えていって
孤独な魔女は人肉を喰らいながらも
待っていて頑張って良かったね!
なんてハッピーエンドにしたら
ストーリーは ぶち壊れるだろうと
思うのだが、さらなる人肉喰いが
増えて そこに仲間が増えていって
また さらに狂人軍団でも作り、
「もうこの姿になったら、怖いもの
などありません!」って世界に
突入するのも良いかと思うのだけど。

そもそもが「狂気」とは
ある意味 正気を保てないほど〜
という事から発している。

その原因が「怨念」でも「超越した美」
でも狂気に達すると思っている。
話がずれるが、ピンクフロイドの
「クレイジー・ダイアモンド」
の美しさなど まさに神秘の狂気か
輝きの狂気を音にした感覚がする。

短篇「安達が原」で
ダラダラと また長く書いてしまった
のでした。

2014-01-25 23:43:29投稿者 : Nachiko
この記事のURL コメント(8) トラックバック(0) nice!  あしあと
    8件中   1 - 8 件表示 ( 全 1ページ )
    コメント一覧
    久松さんへ「安達が原」を単なる男女の恋愛物に見せかけるオブラートの技術が凄いです。そこにある時代背景、社会問題を加味している上に、人に「正義」の真実を突きつけています。さすがとしか言えません。
    サイト管理者 Nachiko   2014-01-28 16:51:30
    guest
    残念ながら未読の手塚作品です。でもこのブログの紹介を読んで、ぜひ読んでみたいと思いました。題材となってる「安達が原」は、能ではほんとうに有名な作品ですよね。この手塚作品も、そのまま演劇や映画の原作になってもいいような内容なのでしょうね。若いころからずっと演劇をかじってきた僕には、とても読書欲をそそるテーマです。
    投稿者 久松   2014-01-28 11:57:19
    瑞恵さんへご両親のトラウマから抜けることが出来たら良いですね。日常生活でも、ご不自由されておられるのではないでしょうか?コメントを読んでいて とても心配になりました。
    サイト管理者 Nachiko   2014-01-26 22:45:40
    馬鹿道マッシグラさんへ広いスペースとお金があったら買いたい本が沢山あります。その筆頭の漫画は手塚作品の全てを集めることです。何せ かなり捨てられたので一から買い集めて行くつもりです。
    サイト管理者 Nachiko   2014-01-26 22:41:25
    MWさんへ私は男性の使命感の強さが 元婚約者を殺したとも受け取れるのです。仕事人間の男性が家庭を顧みず家族の心を殺す時代背景を感じるのです。そして本当に戦っていたのは魔女になってまで人を喰らっていた彼女のような気もするのです。政治に立ち向かえない歯痒さ虚しさです。
    サイト管理者 Nachiko   2014-01-26 22:37:57
    guest
    手塚マニアでもあるMWです(笑)。「安達が原」はwikiに項目として載っているぐらいマニア間では人気の高い作品です。僕にはあの作品は「男女間の愛なんて、しょせんは錯覚なんだよ」という手塚先生のメッセージに感じました。いや、先生、そんな身も蓋もないことを言ってしまったら、あまたある愛の物語の全てを否定することになってしまうではありませんか。と突っ込みを入れそうになってしまいました。捉え方は人それぞれだと思いますが、人間の業を漫画で表現しようとする手塚先生はやはり天才なのだと思います。
    投稿者 MW   2014-01-26 22:06:54
    guest
    興味を持ちました。
    時間があったら読んでみたいと思います。
    手塚さんは確かに深い意味を盛り込んだマンガを描いていらっしゃいますよね?
    うーむ! ☆〜(ゝ。∂)
    投稿者 馬鹿道マッシグラ   2014-01-26 21:18:30
    guest
    手塚治虫さんは、そう遠回しな表現もなくメッセージを 割と直接的に伝えられる方だと 勝手に私は思っています。
    厳しく両親からマンガを禁止されてきた私は今でもマンガを読むと胸がドキドキしてしまうのです。罪悪感を抱いてしまうのです。マンガに込められているメッセージをつかむ事すら難しい状態で読むのです。手塚氏はブッダもあったと思います。素晴らしいマンガ家でしたね。
    投稿者 瑞恵   2014-01-26 07:48:43
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